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キュービクルの交換時期は?長く使い続けるとどうなる?2025.04.18

キュービクルは、電力会社から高圧の電力を受電し、低圧の電力に変換して建物全体に電気を供給する重要な設備です。建物全体の電力の安定供給を担うため、故障などによって停止すると大きな被害が発生します。

キュービクルは経年により劣化するため、安全に使用するには適切なタイミングでの交換が必要不可欠です。

この記事では、キュービクルの交換時期の判断基準や、長期使用によるリスク、交換時の注意点や費用について解説します。

キュービクルの交換時期について

まずはキュービクルの交換が必要な場合について説明します。

キュービクルの耐用年数

キュービクルの標準的な耐用年数は15年から20年と言われています。

通常、製造から15年以上が経過したキュービクルは、交換を検討する時期に入ったと考えられます。特に20年以上経過しているキュービクルは、点検により故障が見られなくても、計画的な交換を検討しましょう。

しかし、この年数はあくまでも目安であり、使用環境や負荷状況、メンテナンス状態などによって実際の寿命は大きく異なるため注意が必要です。

例えば、屋外に設置されたキュービクルは、屋内に設置されている場合に比べ劣化が早くなる可能性が高いでしょう。さらに、海岸沿いの塩害地域では、塩害によって腐食などの重大な劣化が起こると予想できます。

また、頻繁な負荷変動があるキュービクルや、常時高負荷で運転しているキュービクルは、より早期の交換を検討する必要があるかもしれません。

このように、キュービクルが劣化する速度は様々であるため、15年よりも短い期間で劣化が進み交換が必要となる場合もある一方で、20年を超えても問題なく使用できているケースも見られます。

定期点検によるキュービクルの状態確認

キュービクルは、電気事業法等の法令によって定期点検を実施しなければなりません。この点検結果をきちんと保管・整理し、性能の低下や発生した不具合などを見ることで、キュービクルの劣化状況を知る手がかりとなります。

定期点検では、目視による外観の腐食や変形などの劣化状況、内部機器の動作状態、専用の測定器を用いた絶縁抵抗値の測定といった確認を行います。

目視で確認できるような腐食や内部機器の故障があれば、すぐに修理を行う必要です。劣化の程度によってはキュービクルを交換しないといけないケースも考えられます。一部機器の交換で対応できる場合も、繰り返し点検の指摘事項があがる場合はキュービクルの交換を検討した方がよいでしょう。

また、点検のたびに絶縁抵抗値が低下しているなど、目視では確認できない劣化が進んでいる場合もあります。定期的な測定結果を記録し、経年変化を把握することで、目に見えない劣化を知ることができ、適切な交換時期を見極めることができるのです。

このように、定期点検はキュービクルの交換時期を知るための重要な手がかりとなります。点検を実施する主任技術者の意見も重要です。

キュービクルを長期使用する際のリスク

交換時期を過ぎているキュービクルを無理に使用した場合、様々なリスクが生じます。ここで、キュービクルを長期使用する際の代表的なリスクを説明します。

重大事故・波及事故の発生

最も重大なリスクは電気事故の危険性です。経年劣化による絶縁性能の低下は、漏電や短絡事故につながる可能性があります。また、劣化により各種保護機能が動作しないことにより、被害が拡大する場合もあるでしょう。

特に、高圧電力を扱うキュービクルの事故では、火災や感電など建物や設備に重大な損害を与える事故や人命にかかわる事故に発展する恐れがあります。

さらに、キュービクルは電力会社の電力網から直接高圧の電力を受電しているため、事故が起きた際に、近隣の建物など周辺地域を巻き込んだ波及事故になることもあります。波及事故が発生すると、キュービクルを設置・管理している事業者には重大な責任が及びます。

波及事故により、第三者の設備が故障したり、営業が停止したりした場合には、損害賠償を求められるケースも少なくありません。

長期間の停電による事業の停止

キュービクルは建物全体の電気を供給しているため、故障により停止すると停電になってしまいます。現在の企業で電気を使わずに事業を運営することはほぼ不可能でしょう。キュービクルの故障は事業の停止にも直結します。

キュービクルのような大型の設備をいきなり交換しようとしても、すぐに対応することはできません。通常、キュービクルの制作には3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。

また、故障した部品のみを取り替える場合でも、必要な製品によって調達に数日~数か月かかることは珍しくありません。特に古い設備の場合、交換部品の入手が困難になっているケースも多く、故障が長期化するリスクがあります。

長期間の停電が事業に与える影響は非常に大きな被害となる可能性があります。

事業者責任・コンプライアンス

電気事業法では、キュービクルを技術基準に適合した形で維持する義務が定められています。基準を満たさない設備を使用し続けることは、法令違反となる可能性があります。劣化したキュービクルを交換せずに事故が発生した場合、事業者の責任を問われることになるでしょう。

人命にかかわるような重大な事故や周囲に被害を及ぼす波及事故が発生した場合には、損害賠償を求められるだけでなく、監督官庁の立ち入り検査やキュービクルの使用停止、行政処分などの可能性も否定できません。

また、法令違反と判断された場合には保険の適用が制限される可能性もあります。このように、経営リスクの観点からも、計画的なキュービクルの交換は重要な課題といえます。

キュービクル交換で注意すべきポイント

キュービクルの交換は、費用も高額で工事の実施は建物の使用制限が発生するなど大きな負担です。また、重要な設備の交換となるため、そのタイミングで実施した方がよいポイントもあります。

ここで、キュービクル交換で注意した方がよいポイントを紹介しますので、これからキュービクルの交換を検討される方は参考にしてください。

適切なキュービクルの容量・仕様の確認

キュービクルを交換する場合は、まず、現状のキュービクルの設備容量が適切かどうか検討しましょう。

既存のキュービクルと同じ仕様で交換することも可能ですが、事業規模の拡大や設備の増設により、必要な電力容量が変化している可能性があります。容量が不足すれば電力の安定供給ができず、必要以上に大きければ過剰設計により無駄なコストが発生します。

また、新設するキュービルの容量は、将来の拡張性も考慮する必要があるので注意しましょう。

工事計画・停電期間の事業への影響

キュービルの交換工事を行う際は、綿密な事前準備と計画が必要です。計画の確認では以下の点に注意するとよいでしょう。

  • 工事工程・停電期間の確認
  • 工事中の使用制限・立入制限の確認

工事計画の立案では、停電時間の調整が最も重要なポイントとなります。キュービクルの交換には一定期間の停電が必要となるため、業務への影響を最小限に抑えるための綿密な計画が求められます。場合によっては、仮設キュービルの設置や休日工事の実施なども検討する必要があります。

また、工事期間中の安全確保も重要な課題です。作業現場の安全管理はもちろん、周辺設備への影響にも注意を払う必要があります。工事に必要な範囲は柵で囲うなどの安全対策が一般的ですが、これらの立ち入り禁止措置は建物の使用制限につながり、事業に影響する可能性もあるため、事前にしっかりとチェックしておきましょう。

諸官庁への届出・電力会社との協議

キュービクルの交換では様々な手続きがあることも忘れてはなりません。電力会社との協議や、必要に応じて官公庁への届出なども行います。

キュービクルの設置には、経済産業大臣への各種届出が義務付けられており、内容に変更があった場合にも速やかに届け出る必要があります。また、所轄消防署への電気設備設置(変更)届出書の提出も必要です。

また、電力会社と事前協議を行います。特に、容量変更を伴う場合は、電力会社との綿密な打ち合わせが必要です。場合によっては電力会社側の設備を変更する場合もあり、事前の協議ができていないと、工事の中止や延期の原因となることもあります。

手続きには一定の時間を要するため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

キュービクル交換の費用について

キュービクルの交換には高額の工事費用がかかります。そのため、計画的に予算を確保し、交換にあたらなければなりません。

ここでは、キュービクルの交換にかかる費用について、その内訳や相場を紹介します。

キュービクルの交換にかかる費用の内訳

キュービクルの交換にかかる費用は主に以下の項目が含まれます。

  • キュービクル本体の購入費
  • 既存キュービクルの撤去工事費・処分
  • 新設キュービクルの設置工事費
  • その他の付帯工事費
  • 設計や手続きなど事務経費

キュービクルの交換にかかる費用の大部分は、キュービクル本体の購入費と既存キュービクルの撤去、新設キュービクルの設置などの工事費です。

その他、基礎が劣化している場合は基礎を作り直すなど、状況によって付帯工事が発生する可能性があります。

キュービクル設置工事の相場

キュービクルの交換にかかる費用の大部分は、キュービクル本体の購入費と工事費です。

キュービクル本体の価格は、概ね電気容量に比例しており、一般的なキュービクルであれば100kWあたり200万円程度です。

最大電気容量相場価格
100kW200万円
300kW600万円
500kW1,000万円

ただし、これは特殊な付加機能がない標準品の価格です。また、屋内設置・屋外設置など設置条件や使用状況によっても価格が変わってくるため注意してください。

工事費は、キュービクルを設置する条件や周囲の環境によって大きく異なります。キュービクルの搬入のしやすさ、重機の使用可否など、様々な条件があり一概には言えません。そのため、費用を算出するには、専門業者に事前調査を依頼し、見積もりを作成してもらう必要があります。

見積もり比較・施工業者の選定ポイント

キュービルの交換工事は高度な専門性が要求される作業であり、豊富な経験と技術力を持った業者を選定することが重要です。

特定の業者が決まっていない場合は、複数の工事業者に調査・見積もりを作成してもらい、依頼する業者を決定することをおすすめします。

  • 事前調査を丁寧に行っている
  • 見積書の内容が具体的でわかりやすい
  • コミュニケーションがしっかりしており、質問に明確に回答してくれる
  • 追加費用が発生する場合やリスクについても説明してくれる

業者を比較する場合は、上記が重要ポイントです。価格だけでなく、施工実績や保守体制、アフターサービスなども含めて総合的に評価しましょう。

まとめ

キュービクルは、建物全体の電力供給の要であり、劣化による故障や事故は重大なリスクがあります。経過年数だけでなく、設備の状態や点検結果を総合的に判断し、適切な時期に交換を検討しましょう。

キュービルの交換には、費用も掛かりますが、電気設備の安全性と信頼性を確保するための重要な投資と考え、計画的に実施することが大切です。



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