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キュービクルの点検は必要?具体的な内容や重要性について解説!2025.04.18

キュービクルは建物の電気設備の要となる重要な設備です。高圧の電気を受電し、建物内で使用できる低圧電気に変換する役割を担っています。この重要な設備を安全に運用し続けるためには、適切な点検と管理が欠かせません。

この記事では、キュービクルの点検について、その必要性やタイミング、具体的な点検内容まで詳しく解説していきます。

キュービクルの点検はなぜ必要?

電気設備の点検は、電力の安定供給、突発的な故障による事故の防止、設備の長寿命化によるコスト低減などのために実施します。特にキュービクルは、建物全体に電力を供給する重要な電気設備のため、その点検には重要な役割があります。

さらに、電気事業法では、自家用電気工作物(キュービクル)の設置者に対して、設備の適切な維持管理を義務付けています。

キュービクルは、日常的に適切な管理を行うとともに、毎月(または隔月)実施する月次点検と、年1回(または3年に1回)実施する年次点検を行うことが必要です。

キュービクルを設置すると、経済産業省が所管する関係官庁に対し、各種届け出や報告が義務付けられ、必要に応じて立ち入り検査が実施されることもあります。その際に不備が見つかれば、行政指導が行われ、最悪の場合キュービクルの使用を停止さ、罰則を受ける恐れもあるのです。

キュービクルの定期点検は法的な義務のため、設置した以上は実施する必要があるものだということをしっかりと認識しましょう。

キュービクルの点検を行うタイミングは?

キュービクルの点検は、点検頻度や実施する内容により種類が異なります。

定期的に実施する点検としては、月次点検と年次点検があります。また、必要に応じて行う臨時点検も重要です。さらに、設備の規模や重要度に応じて毎日巡視を行うなど適切な管理体制は異なります。

ここでは、主なキュービクルの点検を行うタイミングについて紹介します。

月次点検

月次点検は1ヶ月に1回実施する点検です。

月次点検では、主に停電をしなくてもできる基本的な点検を実施します。

  • キュービクル本体や内部機器の外観を目視で点検する
  • 異音や異臭など、何らかの異常がないか確認を行う
  • 漏電していなか測定していないか測定する
  • 電圧、負荷電流を測定し、異常電流の発生がないか確認する
  • 各機器の温度を測定し、異常がないか確認する

この他、非常用発電機が接続されている場合は起動試験を行うなど、付加機能によって点検項目が追加される場合があります。

月次点検は、需要設備監視装置を設置するなど、一定の条件を満たすキュービクルでは隔月とすることもできます。キュービクル導入時のコストは増加しますが、隔月とすることで点検コストを抑えることができ長期的なコストメリットが見込めるため、キュービクル導入時に検討するとよいでしょう。

年次点検

年次点検は1年に1回行う月次点検よりも詳細な点検です。

年次点検では、月次点検の項目に加えて、キュービクルを停止させないとできない以下の点検を行います。

  • 高圧ケーブルを含めた絶縁抵抗試験
  • 保護継電器や各種機器の動作試験
  • 高圧電流の通電中は確認できない各機器の点検

キュービクルを停止させて実施するため、点検中は建物全体が停電することとなり、キュービクル以外にも大きな影響があります。

月次点検と同じく、一定の基準を満たすことで3年に1回とすることが可能です。キュービクルの停止に伴う停電の頻度を下げることができるため、月次点検を隔月とする以上の大きなメリットがあります。

臨時点検

特別な状況が発生した場合には、臨時の点検が必要となります。地震や台風などの自然災害後、設備に異常が認められた場合、大規模な工事や設備変更後などが、臨時点検を実施するタイミングです。

特に自然災害後の点検は重要です。地震による基礎部分の損傷や、台風による雨水の浸入など、設備に重大な影響を与える可能性がある事象が発生した場合は、速やかに専門家による点検を実施する必要があります。

キュービクルに異常が起きている状態で使用すると、重大な事故につながる可能性があるため、主任技術者を外部委託する場合は、緊急時の対応も行ってくれるよう契約内容を確認しておくとよいでしょう。

キュービクルの点検をする重要性

キュービクルの点検は法令で義務付けられているため、必ず実施しなければなりません。

しかし、法令で定められているのは、それだけキュービクルの点検が重要であるためです。また、適切な点検を実施することで、事業者にも様々なメリットがあります。

ここで、キュービクルの点検を行う重要性について見てみましょう。

事故防止と安全確保

キュービクルは建物内のすべての電気を供給する重要な設備であると同時に、高圧の電気を扱う大変危険な設備であり、その管理には細心の注意が必要です。

キュービクルが故障により停止すると、建物内の電気が使えなくなり、事業の継続や住民の生活に大きな影響を与えることになります。また、異常電圧の発生により建物内の電気設備が故障するといった被害も考えられます。

さらに、キュービクルからの発火による火災や感電事故により、人命や財産に大きな被害が発生する可能性もあります。

キュービルの事故は、当該設備だけでおさまるとは限りません。電力会社の配電線にも影響を及ぼす可能性があります。これを「波及事故」と呼び、周辺地域の停電など、社会的にも大きな影響を与える可能性があります。

キュービクル内部には変圧器や遮断器など、様々な機器が設置されており、それぞれが適切に機能することで安全な電力供給が実現されています。点検を怠ると、設備の劣化や異常が見過ごされ、故障や事故につながる可能性があります。

定期的な点検により、異常を早期に発見し、事故を未然に防ぐことができるのです。

設備の長寿命化・コスト削減効果

定期的な点検により、設備の劣化状況を把握し、適切な時期にメンテナンスを行うことができます。これにより、設備の寿命を延ばし、突発的な故障を防ぐことが可能になります。

キュービクルは非常に高価な設備であり、その更新には多額の費用が必要となります。適切な点検とメンテナンスにより、設備を長く使用することは、経済的にも大きなメリットとなります。

また、突発的な故障が発生した場合、緊急対応が必要となり、修理費用も高額になりがちです。設備の故障により停電が発生すると、事業活動の中断にもつながり機会損失も発生します。

予防保全により設備を良好な状態に保つことで、これらの突発的なコストを抑制できます。

電力の安定供給

現代の事業活動において、電力の安定供給は極めて重要です。多くの設備は電気がなければ動かすことができないため、停電が起きると事業活動が停止し、大きな機会損失へとつながります。

また、医療機器やデータセンターの停止など、事業内容によっては停電が発生した時点で取り返しのつかない大きな被害が発生する場合もあります。

点検により設備の健全性を維持することで、突発的な停電のリスクを低減し、安定した事業活動を継続することができます。特に重要な施設では、点検の頻度を増やすなど、より慎重な管理が求められます。

キュービクルの点検って実際なにをしているの?

キュービクルの点検は事業者の義務であり、重要な役割を持っているものです。しかし、具体的に何をするのかイメージできない方も多いでしょう。

ここで、キュービクルの主な点検内容を具体的に紹介します。

外観点検

設備の外観を目視で確認し、異常がないかチェックします。外装の損傷や発錆、扉の開閉状態を確認するほか、異音・異臭の有無なども確認します。

また、小動物の侵入跡や雨水の浸入跡なども重要な確認項目です。キュービル内部への小動物の侵入は、重大な事故につながる可能性があり、侵入経路の特定と対策が必要です。

低圧部分は、キュービクルを停止させなくても比較的容易に確認できますが、高圧部分は接触や接近によって感電する恐れがあるため、キュービクルを停止させなければ確認できない場合もあります。

機器の動作確認

キュービル内部には様々な機器が設置されており、それぞれの動作確認が必要です。遮断器や開閉器、保護継電器などの保護装置は、異常時に確実に動作することが求められます。また、表示灯や各種メーターの状態確認も重要な点検項目です。

特に保護継電器は、過電流や地絡などの異常を検出する重要な装置です。定期的な動作試験により、確実な動作を確認する必要があります。

各種測定・試験

電気は目に見えないため、専門的な測定器を使用して、各種数値を測定します。

使用中の電圧を測定し、電圧が規定の範囲内にあるか確認したり、電流を測定し異常に大きな電流値になっていないか確認したりします。

絶縁抵抗測定は、機器の絶縁性能を確認する重要な試験です。経年劣化により絶縁性能が低下すると、漏電や短絡事故のリスクが高まります。

接地抵抗測定も重要な項目です。接地は、万一の事故時に人命や財産を保護する重要な安全対策です。定期的な測定により、接地抵抗値が規定値以内であることを確認します。

点検記録の管理

点検結果は適切に記録し、保管する必要があります。記録には、点検日時、点検者名、点検項目と結果、測定値、異常の有無と対応、次回点検予定などを含めます。これらの記録は、設備の経年変化の把握や、異常の早期発見、更新計画の策定に活用できます。

また、点検記録は法令遵守の証明としても重要です。万一の事故時には、適切な保安管理を行っていたことの証明として、これらの記録が重要な役割を果たします。

国が実施する立ち入り検査時に点検記録がないと行政指導を受けることにもなりかねませんので、点検記録は適切に管理するようにしましょう。

まとめ

キュービルの点検は、電気設備の安全性確保と安定運用のために不可欠な作業です。法令に基づく適切な実施、主任技術者による定期的な点検、詳細な記録の保管、異常時の迅速な対応が重要です。

キュービルは電気設備の要であり、その安全な運用は事業の継続性に直結します。適切な点検管理により、安全で信頼性の高い電気設備を維持していきましょう。

キュービクルの設置・維持管理・更新で困ったことがあれば、専門業者に相談して早めの対応を行うことが重要です。



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